Archive for the ‘Event’ Category

10分=600秒

火曜日, 6月 17th, 2008

あれよという間にTypeCon Buffalo開催までいつの間にか一ヶ月を切り、時間とは経つのが早いなと感じる。今年は去年より開催が二週間程早く、余計にそう思うのかもしれない。あいにく今年はTypeConには行けそうになく、さてどうしようかと気持ちだけがフワフワしている。

TypeConブログには今年のType Critiqueの要項が案内されている。昨年同様Matthew Carterさん、John Downerさん、小林章さんの三氏を迎えて行われます。受付方法がこれまでより若干変更され、まずは初めての人を優先しようということのようで、席が空いていればこれまで参加したことのある人も登録できるようです。「また行って修正を見てもらおうと企んでることがバレたか?」と思いつつ、今年は行けそうに無いのでもう心配しなくていいか…。

その他の要項はこれまで通り、

・持ち時間10分
・1書体のみ(ファミリーでの提出はダメ)
・プリントアウトしたものを提出(ノートパソコンなどでのプレゼンはダメ)
・もちろん英語で質疑応答。(小林さんが居るから日本語で大丈夫という訳にいきません。John Downerさんに「ちゃんと英語でやってくれよ」とクギを刺されます。)

昨年は、こういうルールを知らないまま行ってしまい、ロビーに貼ってあった要項を見て慌てて前の晩にホテルで編集し直した。英語は片言英語だった上、緊張してほとんど喋れませんでした。批評してくださるお三方用にプレゼン用のシートは3部あった方がいいかもしれません。枠は10席しか無いので早めに応募名簿を見つけて名前を書き込みましょう。

10分と聞いて短いと思っていたが600秒と思えば長く感じる。終わった後で今までで一番貴重な10分だったかもしれないと思った。

関連記事:
TypeCon 2007 Typecrit video

TypeCon 2007 Typecrit video

金曜日, 5月 23rd, 2008

昨年初めて出かけた海外のタイプコンファレンスTypeCon 2007 Seattle。その際に受けてみた10分間書体批評(10 minutes type critics)の模様の音声がYouTubeにアップされています。

TypeCon Seattle 2007: Typecrit 1 of 4

その場ですべてを聞き取ることは無理だろうと思い、iPodを使って全ての参加者の批評を録音。その音声をもとにEben Sorkinさん(彼もCritique参加者の一人)が写真やその時に使った書体見本などをうまく編集してまとめてくれました。

この10分間書体批評はMatthew Carterさん、John Downerさん、小林章さんの3氏が参加者が制作した書体を10分間で批評してくれるというTypeCon恒例となったイベント。10人の参加者それぞれに与えられた時間は10分。3氏それぞれの書体についての意見が交わされ、時には観客からの質問も飛び交います。


写真:コンファレンス会場受け付け横に張り出されたCritic申し込み用名簿。参加したい人が自分で書き込みます。現地でどうやって登録すればよいかわからず気がつくのが遅く、いつの間にかこの紙が張り出され、10人全てが埋まっていた。しかし、次に見に来た時に誰かが参加を取りやめていたので、あわててそこに自分の名前を書き込んだ(3番目)。

このイベント自体に参加して直接批評してもらうこともとてもよかったのですが、他の参加者への批評もとても勉強になります。こういう書体の時はこういう所に気をつけるのか、こういう所を見比べると全体を判断しやすいのかといったポイントをたくさん知ることができ、見るだけでも十分価値があると思います。

驚いたのは参加者の中にTDCで受賞したこともあるGabriel Meaveさんや、バウハウス大学でタイポグラフィーを教えているJay Rutherfordさんなど、現在活躍するデザイナーが多く参加していたことです。書体についていろいろな人から意見をもらおうという積極的な姿勢がうかがえます。

またこの時はGabrielさんを含め3人のメキシコの方が参加していましたが、どの書体もユニークかつ完成度の高い書体ばかりで、レベルの高さがうかがえました。来年のAtypIはメキシコで開催されるそうで、さらに書体デザインへの関心が高まっていくのではないかな。

最後のパーティーのときにJohn Downerさんに「修正してまた持っておいでよ。」と声をかけてもらった。今年の開催都市はBuffalo。行ったことのないAtypIにするか迷う。

追記:Typophileでの関連スレッド
TypeCon 2007 Typecrit video

Fridaを探して

土曜日, 4月 12th, 2008

銀座gggで開催中のTDC展に行く。先日Schwartzさんのプレゼンテーションでお会いした現在イギリスReadingの学生であるFernando De Mello Vargasさんの作品を見てみたかったからだ。見事TDC賞を受賞したFridaという書体は標準的な欧文だけでなくタミル語というインドで使われる言語もカバーしているそうだ。
VargasさんとはTDC賞授賞式翌日に開かれたSchwartzさんのプレゼンテーションでたまたまお会いしたが、終電間際だったこともありゆっくり話を聞くことができなかったので、メールを送ってやり取りをしている。Reading大学での論文などもサイト上に公開してあり、スペーシングについての研究など、とても興味深く読ませてもらった。学生でありながら既にこのレベルの作品と論文を手がけたということに恐れ入る。

TABトーク クリスチャン・シュワルツ

火曜日, 4月 8th, 2008

まさかこの方に日本で会うことができるとは思ってなかった。五反田の5tanda Sonicで開かれたTokyo Art Beatのトークショーには、ニューヨークを拠点にするタイプデザイナーChristian Schwartzさんをゲストに迎え、大雨にも関わらず多くの人が詰めかけたいた。

I Love New York Tシャツを着て壇上に上がったSchwartzさんは、たくさんのスライドとともに、手がけてきたカスタムフォントの事例を紹介。特にイギリスの新聞The Guardian用のカスタムフォントの経緯を詳細に語ってくれた。100を越す膨大なファミリーになった理由や、それぞれのファミリーの持つ役割などを解説し、カスタムフォントを作る意味が感じられた。
ショーのあとで懇親会が開かれ、少しお話をすることができた。ポートフォリオを見てもらって意見をもらったり、質問をしてみた。Schwartzさんも見出し用の太い書体が好きなようで、丁寧に見ていただくことができた。Guardian書体は今年中に発売予定だそうで、コンデンス書体も現在進行中とのこと。

(左) 3スタイルある書体について解説。 (右) この日のために用意されたプロフィールなどが掲載されたフリーペーパーにサインしてもらう。

このショーの数日後には朗文堂でも同様のプレゼンテーションが行われ、厚かましくまたお邪魔した。先日できなかった質問を伺うことができ、オランダの書体に影響を受けた理由や、カスタムフォントを導入する際のクライアントの理解度についての意見をお聞きした。
日本でカスタムフォントが普及しないのは決して文字数の多さだけが原因ではないと思う。まだまだ作り手がその効果、利点をうまく説明できていないという思いが強くなった。

日本で海外のタイプデザイナーに直接お話を聞くチャンスはほとんどない。Schwartzさんは明日が帰国というのに二回目の時間を作ってくださったそうで、二回も会うことができ、たくさん質問させていただいてとても感謝しています。
もう一人、お礼を申し上げなければならない方がいます。今回のTABのトークショーをコーディネートされたAQのChris Palmieriさん。タイプデザインにとても興味があるそうで、ご自身のサイトでJeremy Tankard氏など最近注目しているタイプデザイナーにインタビューをしており、Schwartzさんの通訳としても尽力され、とても親切にしてくださいました。ありがとうございました。