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文字はエロい

月曜日, 7月 21st, 2008

上京して間もない頃、国分寺で開催された「ハーブ・ルバリン展」でこの本と出会った。タイトルを見て思わず手に取ったが中身はエロくも何とも感じない。ところが表紙にある堂々としたローマンキャピタルは何とも艶かしい線をもっている。お客さんお目が高い、こいつは買いですぜ、と展覧会を主催する古書店の主に耳打ちされたこともあり、財布へと手をやって中身と相談する。EROSは号を経るにつれどんどんよくなり、本当はVol.3のマリリン・モンローの写真が掲載されたものが欲しかったが(これは少しエロい)、当時始まろうとしていたプロジェクトの資料にも使いたかったので、EROSとはっきりタイトル文字が写ったVol.1にした。古書店の主は、Vol.1の方が希少で買いですぜ、旦那。と言うが、やっぱりマリリン・モンローに後ろ髪を引かれている。

アイデア 329号のハーブ・ルバリン特集号に「EROS」は掲載されていた。ハーブ・ルバリンの業績を振り返る上で欠かすことができないこの雑誌、主の勧めた訳がわかった。あまりそういうところには興味が無かったが、ピンピンに尖ったエッジをもつタイトル文字はとても引きつけられる。紙面に用いられている書体の線は艶かしく、印刷のトーンや文字の揺らぎが心地よい。EROSの文字は自分にとって十分にエロい。