BRODY@ggg & Rocket

2月2日18時21分数寄屋橋交差点。Neville Brodyのトークショーを聞きにgggギャラリーに向かう。Neville Brodyと言うだけで年齢が分かるかもしれないというぐらい、学生時代は時の人だった。Fontographerで作った文字を駆使してグラフィックを生み出し、「フォント」という言葉をクローズアップさせ、間違いなく文字に興味を持つきっかけとなったうちの一人。

左:学生時代に買った『The Graphic Language of Neville Brody』。手頃な価格で手に入れることができた作品集。右:ggg主催のトークショーのフライヤー

想像していたよりも若い世代が集まった会場に入って来たBrody氏は、少し時の経過を感じさせるが、眼光の鋭い感じは健在。でも、「眠たくないか?寝てるんじゃないのか?」と聞いたり、しんと静まった会場で携帯電話が鳴ったかと思えば、陽気に「Hello?」と電話に応えてしまうユーモアでも観客をひきつけてくれる。

スライドで紹介される作品は、一瞬落ち着いた感じに見えたが、やはり文字の魅力や見せ方を熟知していて、大胆さがより洗練された感じがした。これまでのように要素にあえて動きをつけて生み出す躍動感とは違い、写真と文字との対比や、フォントウエイトのコントラストや文字のエレメントを大きく扱いビジュアルイメージとして展開するなど、ストレートな表現が多く見ることができた。Times紙のリニューアルプロジェクトなどは、強いロゴや見出しと明快なレイアウトで、それらの傾向が集約されたプロジェクトに思えてとてもおもしろかった。(なんと言っても読ませるための新聞という媒体にBrodyが取り組んだというのがうれしい!)

また、作品の中からは特にパッケージやエディトリアルといった作品を多く紹介し、AD&Dアニュアルに代表されるようなリアルなもの、手で触れることができる工夫、仕掛けを取り込んだ作品を、繰り返しphysicalというキーワードで説明していたのが印象的だった。ポスターをはじめとする平面作品が多い印象があったが、これまで平面の中で展開されていた立体的な表現が、徐々にパッケージやエディトリアルなど、リアルな世界に結実した感じがした。

後日、Rocketで行われていたNevil Brodyのギャラリー「Brody@Rocket」のにも出かけてみた。プレゼンテーションで紹介されたようなエディトリアルやパッケージの作品はなく、ポスター作品のみの構成となっていたのが少し残念だったが、これまでの作品を一覧できる展示となっていた。解説によれば、人気を博したがためにイギリスでは活動の場を失い、日本をはじめ海外での活動が主になったようだが、今回の滞在でも日本企業でプレゼンテーションが行われたようで、まだまだいろいろな活動が展開されそうな気配だ。

左:Brody@Rocket会場の表参道Rocket。2009年1月31日から2月10日までポスター展が行われた。右:Brody@Rocketのフライヤー。

関連:Typo Berlinでのプレゼンテーションの様子
Neville Brody – Where’s The Beef?

Neville Brody: role/play


— 音楽アーティストへの憧れに近かったかもしれない。学生当時買った「The Graphic Language of Neville Brody」という作品集のなかには、シンプルさとはかけ離れたビジュアルや幾何学エレメントを組み立てた文字が大胆にレイアウトされ、エフェクトをかけたパスそのものさえグラフィックに取り入れ、読めないのがCoolで、それがタイポグラフィーだと言わんばかりの作品がたくさん広がっていた。それを見ながら、似合いそうな音楽を聞いて、Macが手に届かない当時、必死に烏口と面相筆でロゴを真似をしていた。そんな中で大学研究室に一台だけあったMacの中に Fontographerが入っているのを見つけMacintoshに触れることができるという感動と相まって、文字づくりにのめり込んだ。それらを使えばNeville Brodyのようになれるのではないかと錯覚する「熱」があった。

Fontographerというアプリケーションは、シンセサイザーやサンプラー、シーケンサーが登場したときと同じような衝撃があった。波形やフレーズに少し変更を加えるだけでガラリとサウンドイメージが変わるように、繰り返されるアルファベットのエレメントに変更を加えることで、あらゆるスタイルに生まれ変わるアルファベットのイメージに心を躍らせた。それをするだけでビジュアルイメージを操っているような感覚が面白かったのだと思う。アルファベットというネイティブではない文字に対する憧れと、「読めなくても良いじゃないか」と言ってくれているようなBrodyの作品に後押しされて、打ち込み音楽を作るように文字作りを楽しんでいた。うーん、やっぱり懐かしい。—

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