Archive for 5月, 2008

Ianさんとの文字茶会

土曜日, 5月 31st, 2008

JR新宿駅東口改札前15時07分。待ち合わせに現れないIanさん。仕方なく電話してみる。英語がネイティブの方に自分から電話するなんて初めてじゃないだろうか。すぐに電話は通じて中央東口で待っていたようだ。メールでの書き方が悪かったかな。遠くから大きな体を揺らしてIanさんが歩いてくるのが見えた。

4月上旬に初めてお会いしてからメールでやり取りをはじめ、お互い都合がつかず流れてしまわないか心配だったが、ようやく実現したティーミーティング。折角の機会だしと思って小澤さんと出版社に勤めていて欧文書体にも詳しい吉野さんを誘って文字がらみの話を楽しもうと企画した。

あいにくの雨のなか数件歩き回ってようやくアルタ横のカフェに陣取る。お互い自己紹介をして一人づつ作っている書体を見せたり携わってる仕事のことなどを紹介しながら、いろいろと質問をやりとりした。話は脱線するし適宜質問するし雑談的にできたのがよかった。

Ianさんは日本にある文字に関するうわさ話も良く知っているし、小澤さんの書道についてもいろいろと聞いていたし、仕事で日本語のテキストを使うこともあるらしく、吉野さんが持って来た小説の組みの句読点のアキについて質問していた。当たり前と思っていることも、違う視点から見れば「なんで?」ということがわかっておもしろい。

自分の作品の英語での説明など反省は多かったが実現できてよかった。日本にも海外から来た文字に関心の高い人がたくさんいて、今回のことできっかけを大切にすれば広がって行く実感が得られた。また企画してみようと思う。

ところでIanさんによると今年のTypeCon会場はBuffaloはやっぱりちょっとおっかないらしい。下調べでいろいろと調べてBuffaloには観光名所もあまりも無いらしいし、治安がやや不安定らしいというのも知っていたが、実際に話で聞くと臆病者の性格が想像を膨らませてしまい余計心配になった。

TypeCon 2007 Typecrit video

金曜日, 5月 23rd, 2008

昨年初めて出かけた海外のタイプコンファレンスTypeCon 2007 Seattle。その際に受けてみた10分間書体批評(10 minutes type critics)の模様の音声がYouTubeにアップされています。

TypeCon Seattle 2007: Typecrit 1 of 4

その場ですべてを聞き取ることは無理だろうと思い、iPodを使って全ての参加者の批評を録音。その音声をもとにEben Sorkinさん(彼もCritique参加者の一人)が写真やその時に使った書体見本などをうまく編集してまとめてくれました。

この10分間書体批評はMatthew Carterさん、John Downerさん、小林章さんの3氏が参加者が制作した書体を10分間で批評してくれるというTypeCon恒例となったイベント。10人の参加者それぞれに与えられた時間は10分。3氏それぞれの書体についての意見が交わされ、時には観客からの質問も飛び交います。


写真:コンファレンス会場受け付け横に張り出されたCritic申し込み用名簿。参加したい人が自分で書き込みます。現地でどうやって登録すればよいかわからず気がつくのが遅く、いつの間にかこの紙が張り出され、10人全てが埋まっていた。しかし、次に見に来た時に誰かが参加を取りやめていたので、あわててそこに自分の名前を書き込んだ(3番目)。

このイベント自体に参加して直接批評してもらうこともとてもよかったのですが、他の参加者への批評もとても勉強になります。こういう書体の時はこういう所に気をつけるのか、こういう所を見比べると全体を判断しやすいのかといったポイントをたくさん知ることができ、見るだけでも十分価値があると思います。

驚いたのは参加者の中にTDCで受賞したこともあるGabriel Meaveさんや、バウハウス大学でタイポグラフィーを教えているJay Rutherfordさんなど、現在活躍するデザイナーが多く参加していたことです。書体についていろいろな人から意見をもらおうという積極的な姿勢がうかがえます。

またこの時はGabrielさんを含め3人のメキシコの方が参加していましたが、どの書体もユニークかつ完成度の高い書体ばかりで、レベルの高さがうかがえました。来年のAtypIはメキシコで開催されるそうで、さらに書体デザインへの関心が高まっていくのではないかな。

最後のパーティーのときにJohn Downerさんに「修正してまた持っておいでよ。」と声をかけてもらった。今年の開催都市はBuffalo。行ったことのないAtypIにするか迷う。

追記:Typophileでの関連スレッド
TypeCon 2007 Typecrit video

Parallel Strokes

月曜日, 5月 19th, 2008

先月、Christian Schwartzさんの会合でお会いしたIan LynamさんからParallel Strokesという本を送っていただいた。以前彼はPingMagで小林章さんにインタビューを行い、それを見て以来ずっとインタビュアーのIanさんのことが気になっていたが、まさか日本に住んでおられるとは思っていなかった。先日の会合では会の終わりに少し挨拶をさせていただいただけだったので、メールで少しやり取りをさせていただいていた。

このParallel Strokesには彼がタイプデザイナーや、文字に関わるアーティストにインタビューした記事がまとめられている。一口に文字と言っても文字をメインにした落書きアーティストから書体デザイナーとさまざま。文字をテーマにしていろいろな人が活躍しているんだなと思った。それぞれの活動内容や、なぜ文字に興味を持ち始めたかなど各者さまざまでとてもおもしろい。いろいろなきっかけがあるのだなと思った。


Parralel Strokesと一緒に送っていただいたノベルティ

小林さんのインタビュー記事もかなりの部分がカットされていたのか、PingMagには掲載されていなかった質問項目やスケッチなどが掲載されている。その他にはUnderwareへのインタビューや以前IanさんがFontShopカタログで記事を掲載した号の写真を見てとても好きになったDAIMへのインタビューなどが含まれている。


(左上) Parallel Strokesのポスター (右下) 掲載アーティストの写真を見て思い出したIanさんの記事が掲載されたFontShopのカタログ005。表紙を飾るのはDAIMのアート。

Ianさんはグラフィックデザイナーとしてだけでなく、CooperBlack Swashをデジタル化した方でもある。自身でレーベルも立ち上げているようだ。いろいろとお伺いしたいこともあるので、一度会いませんかと約束をした。

MeridienがFrutiger Serifとして登場

月曜日, 5月 12th, 2008

Linotype社がFrutiger Serifを発表。Frutiger SerifはAdrian Frutiger氏がデザインした代表的セリフ書体Meridienを改刻したものだ。尖ったセリフを持ちながらなぜか柔らかい印象を受けるMeridien。次に改刻してほしい書体の一つだった。よくHelveticaやUniversのセリフ書体があったらと想像してみるが、それにセリフをつけるだけでいいというふうに簡単にはいかない。Palatinoは新書体としてSans Serifファミリーが加わったが、FrutigerにはMeridienを改刻させて(Meridienの名前が残らなかったのが少し残念だけど)Serifファミリーとした。字幅やウエイト、プロポーションをFrutiger Nextに合わせて設計され、Sans Serif(Frutiger Next)とSerifの相性がさらによくなるようになっているそうだ。小サイズでの使用時の読みやすさも見直されて、Frutigerファミリーとして頼もしい相棒が加わった。