第55回ニューヨークタイプディレクターズクラブ展

14時32分丸ノ内線銀座駅。ダイヤモンドが落ちていないかと下を見ながらMOUBUSSINのポスター群を抜け、久しぶりに伊東屋に向かう。伊東屋での「ニューヨークタイプディレクターズクラブ展」は毎年恒例らしいが、見に来たのは今回が初めてだ。いつも気になるタイプフェイス部門はWeb上で確認していただけだったが、会期中に近くに来ることができたので立ち寄った。

左:会場となった銀座伊東屋本店。右:展覧会のDMと第55回ニューヨークタイプディレクターズクラブ展を特集した日本タイポグラフィ協会発行の「Typographics ti:」誌256号。

入選作品には、Alejandro Paul氏のカジュアルでありながら品のあるスクリプトAdios Scriptや、スリットのような大胆なカウンターが特徴のOndrej Jób氏のKilimax Boldといったユニークな書体に加え、幅広いキャラクタを備えたMark Jamra氏のExpo SerifやLinotype Libraryから発売されているAlex Rütten氏のGinkgoなどの本文用書体がリストアップされた。

ハワイ出身のBerton Hasebe氏をはじめ、オランダ王立美術アカデミー(Koninklijke Academie van Beeldende Kunsten Den Haag | KABK)TypeMediaコース出身の入選者が3人と、Reading大学出身のDan Raynolds氏など若い世代が多く入選している。ここ数年これらタイプデザインコース出身のデザイナーが、在学中に制作した書体の入選が相次いでいる。どちらのコースにも錚々たるタイプデザイナーが講師陣として名を連ね、それぞれ特徴を持ったカリキュラムが組まれている。年に一度は両校で交流もはかられているようだ。KABKではコース開始後にいきなりPythonのプログラミングの授業から始まるそうで、これはおそらくコースを率いるErik van Blokland氏やTal Leming氏など、タイプデザイナーでありながらスクリプトやツール制作も積極的にこなす講師陣の影響が大きいからかもしれない。今年KABKで行われたRobothon09でも、ここを出身した多くのタイプデザイナーが、Robofab、.ufoフォーマットベースのタイプツールなどを紹介し、プログラムとタイプデザインの関係を強く意識したクラスならではの人材を輩出していることが分かる。一方のReading大学も同様のカリキュラムはあるようだが、KABKではより深くツールを取り入れた授業をしているようだ。とても興味がわいている。

Readingのクラスは、TDC DAYのトピックでも触れたように、多言語の書体制作が特徴となっている。入選したDan Raynolds氏はLinotype社に属し書体を発表した後、Readingのコースに入り今回の受賞作を制作している。

今回入賞した書体のPDF見本帳をプリントしたもの。各デザイナーのサイトや販売ファウンドリーから入手できる。

同じ会場内で「2009日本タイポグラフィ年鑑受賞作品展」も開催されていた。大賞に選ばれたサントリーコーヒーザ・エスプレッソ「ボスの休日」は、BOSSのパイプは既にアイコンとなっていて、それがあるだけで製品に人格が備わっている感じがするおもしろいパッケージになっていた。

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