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国宝 薬師寺展と蘭亭序

水曜日, 4月 30th, 2008

国宝好きにはたまらない大忙しなゴールデンウィーク。新薬師寺に引き続き、東京国立博物館の「国宝 薬師寺展」に出かけた。「新」がつくつかないは決して新旧の関係にあるわけではなく、「新」には別の意味があるそうだ。仏像の中でも日光/月光、仁王像のような対となるものや、四天王像、十二神将像など複数で世界をなすものが好きで、今回も日光/月光菩薩立像が間近で見ることができるということで楽しみにしていた。

もともと仏像は安置されているお寺で見るのが一番良いと思っているが、美術館での展示の楽しみは、お寺では見ることができない角度から見ることができるのがおもしろいこと。今展では室内にデッキが設けられ、ほぼ真正面から見ることができる工夫がされている。

十二神将像ではないが仏像は十二方位から見るとかっこいいという勝手な持論があり、ぐるりと回りながらお気に入りの角度を見つける。体をS字にくねらせているので、どんどんと動きが加わり姿勢が変化していく。一番よかったのは背中からの角度で、黒いつややかな色と体の動きが相まってとても艶かしい。

作品数が少ない分、吉祥天女像をはじめ国宝、重要文化財に絞られていてとても中身の濃い展覧会。一方で展示期間中、当の薬師寺には日光/月光の写真が飾ってあると友達にきいた。あの大きなお堂に薬師如来が留守を預かっているのかと想像すると、少し寂しい気がする。やっぱり、全てが揃った状態で薬師寺でみるのが一番ありがたいのかな。

東洋館では「蘭亭序」の展示があった。王羲之の真跡は存在せず、さまざまに臨模したものが伝えられているとのことだが、本当にいろいろな書風でのこされていて、奔放に書かれたものもあったのが意外だった。会期の終了が迫っていたので、本当はこちらが目的であったにもかかわらず、「薬師寺展」でかなり疲れ果ててしまい、集中力が続かなかった。美術展の掛け持ちはよくない。7月からは江戸東京博物館でも「北京故宮 書の名宝展」として「蘭亭序」も出品されるそうです。